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No.4 [融合]

2009.04.16  *Edit 

融合




日曜日 午後の談話室
鬱陶しい雨続きで外に出れずにいるためハウスの中は人口密度が高い
ニアが談話室に入ろうとしたその時入り口付近のソファーに寝転がってゲームを操ってるマットが話しかける
「なんでニアここにいるの?珍しいねえ」
「…ダイニングは人が沢山でしたので…」
談話の為にこの場を利用する機会など殆どないニアは少々気後れした様子で答える
「なんでそういうこと言うかなーマットは ニア おいで~ 一緒にお茶しよ!!」
リンダはすでに用意している幾つかのホットミルクを乗せたトレイを手に持って奥からニアを呼ぶ

3時 お茶の時間
雨の日の食堂は混み合っている
そんな日は特別に談話室でお茶を飲む事が許可されている
此処も少なからず人はいるが、あくまでも遊び以外での使用条件のため本を読んでいたり駄弁る上級生が数人といったところだ
「あ~あ~ リンダはニア擁護過ぎ 自立の妨げになるから程々にしなよ~」
声は聞こえるが寝転がってるマットはソファーの背もたれでリンダからは姿は見えない
「ばっかじゃないの?よく言うわね もっと下の子を大事にしなさいよ」
「してるよ ねぇ ニア」 マットがニアを下から見上げニコッと笑う
「…はぁ…」 返事に困った様子もなく適当に応えリンダの方へ行きホットミルクを受け取る
「リンダ~ ボクにもミルクちょーだい チョコレート入れてね」
マットがソファーの向こうから腕をヒラヒラさせながら要求する
「自立してるなら自分で取りに来なさいよ」
「うはは」 無下に断られたマットを笑い飛ばすメロの声が聞こえる
その声にニアは両手で抱えているマグカップを口元で止め 大きな瞳を声のする方に向ける
「メロいたの?」 リンダがマットのいる辺りのソファーに視線を移しながら訪ねる
「いるよ さっきから」 そう言って奥まった一角のソファーから細い足が延びてきて合図する

パキラが倒れないようにその四方をソファーが囲んでいる
メロのいるソファーはマットから左側に位置しており 入り口からも見つけにくい場所にある
さらに何本かのパキラの葉が輪になって生えているため増々見えない
メロは行儀の悪い格好でソファーに身体を横たえて 背もたれに片足を乗せている
「マット ピコピコ音うるさいんだけど…」
「あー っんなあああーーっ やられたああ あーごめんメロ ラスボスにやられたから終わった」
「らしいな……」
メロはハードな重さでずっしりとした本を腕に抱えるようにして精読している
「何 読んでんの?さっきから熱心に」 メロの本を覗き込む
「『常温核融合の真偽』……何それー?あ~やな事思い出した… 課題やんなきゃ……」
マットはゲーム機を無造作にポケットに突っ込みその場をゆるゆると立ち上がる
「部屋もどって勉強してくるわ んじゃね」
マットはニアとリンダにもヒラヒラと手を振り部屋を出て行った
「メロ その本…」 マットの読み上げた本のタイトルに ニアは椅子を離れてメロの元へ向かう
「どうしたんですか?それ 図書室を捜してもありませんでしたが…」
「さっき届いた 捜してただろ?」 そう言って背もたれから顔を覗かせてニアの方へ本を差し出す
その本の重みはニアの腕に馴染むのに僅かに時間がかかった
「もしかしてメロが頼んでくれたんですか?」 
「うん まあ…ついで 僕も頼むのあったし 寮ごとに一括して頼めって司書の先生うるさいじゃん」
「あ ありがとうございますメロ」 ニアはその本の重みに腕が下がらないようにソファーの背に乗せて補っている
「なによ~メロだってニアに甘いじゃん」 リンダがカップを片付けながらメロに向かって確認させる
「リンダのは過保護 僕のは友情だ」
「わたしのは慈愛と言ってほしいわ」
「ニア 愛されてるな~」 メロがケラケラ笑う
「ニア可愛いも~ん ねえ~」
「……」 ニアは少し困った様な顔で下を向く
「あはは ニアからかうと面白い」 リンダはテーブルの上のニアのカップをさっさとトレイに下げる
「ニアのカップ もう持ってっちゃうからね」
「リンダ ニア子供扱いしすぎ」
「ヤメて下さいよ メロ…」 メロはニヤニヤ笑ってる
メロの言葉は聞こえなかったのか リンダはトレイを持って談話室を出て行った

お茶を飲み終わり みんなそれぞれ談話室を離れる
「僕は行くけど…ニアは?」
「はい わたしは此処でこれを読んでます」
重そうに胸に抱え直してメロのいるソファーの方に回って来る
「こんな難しいの読んでんの?」
「前期の追加のレポートの課題にしました」
そう言ってメロのソファーの端の空いてる部分にちょこんと腰掛ける
「メロは物性物理学を選択してるんでしたっけ」
「選択間違えた…訳わかんない…」
ニアが座れるようにメロは体勢を直して椅子の隣を空ける
「この本見るまで核融合って受精の核融合のことかと思ってた な~んてね」 そう言ってメロは笑う
「精子の核と卵子の核の合体という事ですか? いわゆるSexという行為ですね」
「 !          っっっ!!!」
ニアは当たり前の解釈で発言したつもりだがメロはそれを聞いて一瞬慌てた
この部屋にはまだ何人か人が残っている  ニアの直な発言を聞かれやしなかったかどうかキョロキョロと辺りを見回す
「ばっ ばかっ!!な 何でそう言う事を臆面も無く言えるんだよっ」
「はい?…どうしたんですか?メロが言った事ですよ」
「…セッ…  ス… …なんてハッキリ言ってないだろ…」
「なにか問題があるんですか?」
「………ぅぅぅ …」
メロは髪をくしゃくしゃっと掻きむしりソファーから腰を上げてその場を離れる
「それでは メロ」
「…ん……………」
何事も無かったように本を開き読み始めるニア
知らず知らずのうちに自分はニアに振り回されてるように感じるメロ
談話室の出口 もう一度ニアを振り返る
目線の先には確かにニアが居る筈だが パキラの葉がジャマしてすでに姿は見えない



「寝てるな…」 
夕食の時間になっても姿を現さないニアを迎えに行く
案の定ニアはソファーで開いたままの本を抱きかかえて眠っていた
「ニア 起きろ」
規則正しい寝息が聞こえる
小さな白い肩は寝息と同じリズムで微かに上下している
「ニア」 ゆらゆらと優しくその肩を揺らしてみる
その拍子に本が落ち その音でニアが目を覚ます
「   ん……」
メロは本を拾い そばのサイドテーブルに乗せる
「………………」
「ニア 起きろって」
一度目を覚ましたニアだが 本の行方を確認して再び目を閉じる
はぁ~  メロはその場に座り込みソファーに片肘を乗せて頬杖をつく
自分の顔のすぐ目の前にあるニアの顔を暫く見つめる
ビスクドール人形のように白く透き通る陶器の肌  この肌の持ち主をあらためて愛しいとメロは思う

「…こうやって寝てたって もうちっちゃい時みたいにおんぶなんかしないからな」 そう言ってニアの鼻をつまむ

クスクス

小さな笑いが聞こえる

「…起きてるんじゃん…」
「おんぶして下さいメロ」
「………ばか 起きろよ」
「じゃあ抱っこしてください」
「………」

クスクス

「起きないとボディスラムかけるぞ」
「タイツ履きますよ」
「……」

クスクス

「本は読めた?…」
「融合は理解するのに時間がかかりますね 眠くなりました」
「……ふ ん…」
「理解してみたくなりました メロ」
「…非生産性の融合……?」
「はい」

メロはニアがよくやる仕草を真似するようにニアの髪をくるくると弄ぶ

「やだ ニアすぐ寝るんだもん」
「寝ませんよ」

クスクス

「嘘つけ」
「嘘じゃありません」

「大好きです メロ」
「…………」


そういう科白を臆面も無く言ってのけるニア

やっぱり僕はニアに振り回されてる  いまハッキリそう感じた
悪くは ない 

メロのキスは ニアに甘い吐息を呼び起こさせる

二人を捜す声が聞こえる

この場所は誰にも見えない筈……


_______________________________ oshimai







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