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欠片1/5

2009.09.11  *Edit 

西暦2013年


日本で再び起こった「死のノート事件」は Lの「この人殺し」発言であっけなく幕を閉じた


それから半年あまり経ったある夏の午後
相変わらずの埃 五月蝿程のクラクションと人々の息遣い 自分の吐き出す息にさえ目眩を覚える

ハルが事件後 再びニアの元に訪れた

静かに上昇する高速エレベーター
気圧に押されて常にまとわりついていた吐き気と耳鳴りも既に感じない程に馴染みつつあるこの場所
ウォーンと壁一面に貼られたモニターの起動音が静かに唸る
少し湿った、いや湿ってるはずはない精密機械のみが息衝いてるといっても過言ではない空間
湿ってると感じたのは自分の気持ちがそう思わせてるのだろうか
だが外気に比べれば幾分救われる程に冷やりと心地よい温度が肌に絡む

ふーっ…とハルは溜息をつく

およそ人の気配など無いに等しいこの場所
もし仮に今宇宙でたった一人取り残されたならば多分こんな気分なのかもしれないと漠然と思い巡らせる
明かりは無数に貼られたモニターのみ
そのモニターからの光は青白く 無機質な空間を演出している

幾度も厳重な装備で囲われた此処への入室
しかしながらエレベーターを降りて真直ぐに延びる通路のこの先の部屋のドアだけは無防備に開け放たれてあった

そしてその部屋のさらに奥まった一角に たった一人の息づく気配を確認してハルは気持ちが楽になる

白く華奢な体躯  決してひ弱という単純な表現では言い表せないだろうその品やかな造り
その青年と初めて対面したあの時 その時からの印象はいい意味で変わらない
当初 まだ十七歳だというその上司を正直「ふざけるな」と思ったものだ
いや 今でもある意味「ふざけるな」と思う事もたまにあるが 彼を尊敬しているという基盤からは決して外れてはいない

その青年の発する一言で初めてこの空間の大気が揺らぐ

「お久しぶりです ブロック」
相手に背中を向けながら話しかける様は相変わらず鷹揚だとハルは思う
「というよりあの事件以来 報告するべく事は特にない筈ですが……まさかあの事件ではないですよね」

その手には お決まりのダイスが一つ 細く延びた奇麗な指の先におかれている

その指先を視界に映し 徐に自分自身の指を目線で追い ハルは別の意味で溜息が出てしまった

「もちろんです L…」
と言ったが、すぐに自分の返答を否定するかのように言い直した

「いえ、ニア」

その呼び方に一瞬ダイスを持つ手が止まったようにハルは感じた

Lとなった今だが しかしながらニアと呼ばれる事に特に不快感を持っているわけではなく
あえてハルが「ニア」と呼び直した事に反応したのだろう

「ならば何でしょう?アポなしとはプライベートな用件ですか?」
ニアと呼び直した事にそう感じたのか 率直な思考だ

「下らない用件で涼みに寄ったんですか?」 ふふ、と含み笑いがハルの耳に届いた

嫌味な言い回し…… いや 嫌味ではない
正直すぎる発言は相変わらずだ



欠片2/5へ続く


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