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最終章 夢

2009.05.16  *Edit 






       カチッ

時刻が変わる微かなデジタル音でメロは目を覚ます
眠い目をこすりながらブランケットを探る

「もうー  毛布独り占めすんなよ 寒いだろ!ニア おい!」
メロのベッドに潜り込み自分のブランケットは抱き枕用にしてメロのそれにすっぽりと包まって寝ているニア

夏の名残も消えた9月の中旬 大気の湿り気は細かい粒となって身体にまとわりつきすぐに体温を奪う
メロはニアの背中を足の裏でコロンと転がしブランケットの端のおこぼれをもらって身体を横たえたが
何かいつもと部屋の雰囲気が違う様な感じに再び上体を起こす

時刻を確認する

       Sep 15 am 5:38

何がどう違うのかわからない

気のせいかと思いながらも 落ち着かない様子で辺りをキョロキョロと見回す
ニアの机の上にはアインシュタインの相対性理論の本が読みかけのページそのままに開いている
メロの机の上の真鍮の天球儀がカランと小さい音を立てて回ったような気がした

「? 風?」

見ると窓が開いている
向かい合わせの位置に備わってるニアのベッドの下に なにか光る物を捉えた
ベッドから下りて覗き込むと そこには精密にカットが施された綺麗なガラスの球が転がっていた

「ああーこんなところにあったのか… よかった 無くしたと思ってた」
ベッドの下 それに手を伸ばして掴み 引出しにしまおうとした時 ふとさっきみていた夢が頭をよぎる

「…?これって誰にもらったんだっけ?」
誰かは忘れたが 確かにそれはもらった物だという事は確信できるメロだ
「ハウスに来る前に誰かが僕にくれたんだっけ……?あれ?」
何かを思い出そうと考えを巡らせたがすぐに諦め もう一度部屋の周りを見回す

机の横に掛けてある革のバッグが床に落ちているのに気がつき拾ってフックにおさめる
「もう だっせぇバッグ」
文句を吐きながらニアのクローゼットに視線を移すとその扉はほんの少し開いている
メロは頭の天辺から冷たいシャワー浴びせられた様な不快感を感じ 全身にゾワ~と寒気が走り身震いをする
「ば ばーか んなわけないじゃん」
怖さを払い落とす様にわざと声に出して言ってみる
扉の前で一旦大きく息をして 唾液を飲み込む音にも力が入る

そっとニアのクローゼットを開く

「ナルニア国はタンスがあっちの世界と繋がっているんだっけ さっきの夢はこれがタイムマシンになっていたぞ」
上半身を折り曲げて恐る恐る頭を中程まで入れてみる
先程まできつく握られていた掌をゆるゆると解放し その先に腕をのばして探ってみる

案の承只のクローゼットの背面が指先にあたるだけだ
「んなわけないじゃん は はは…は~~」
安堵の気持ちと 当たり前な現実にちょっとだけガッカリした自分に弱々しい笑いがこみ上げる

静かにクローゼットの扉を閉める
ついでに開いている窓も閉めに行く

「変な夢 ニアお前僕の家庭教師だったぞ ふざけんな!!」

そう言いながらニアの包まっている毛布を勢いつけて剥がす
ニアは少し転がって「ん……」 と寝ぼけ声を出しながら寒そうにうずくまる
奪い返した毛布だったが 半分をそっとニアに掛けてやり その規則正しく呼吸をしている丸い背中にぴたりと寄り添う

ニアの体温を感じながら心地よい気持ちに浸り メロは再び深い眠りに堕ちていく



メロは気付かない

クローゼットの片隅に 夢の中のニアが大事にしていたあの手帳が落ちていたことを





番外編 ニア スピンオフに続きます  






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