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第四章

2009.04.27  *Edit 

「ニアッ 待って!」

ミハエルはネイトの細い身体を引き寄せるように腕に抱きしめる
「メ……ロ?」 突然の出来事にネイトは手に持っていた手帳を思わず落とす
ミハエルの体温を背中に感じ 急速に早くなる鼓動を気づかれないよう一呼吸して
ネイトはゆっくりと自分の身体に絡められた腕を解く
「どうしました?私は何処にも行きませんよ」 ゆっくりと振り向く
優しく応じるネイトにミハエルは我に帰ったようにネイトを見つめる

「あ…… ニアが光の中に溶けていってしまいそうな気がしたんだ……」
「王子はロマンティストですね」
そう言ってミハエルに微笑みながら傍らに落ちた手帳を拾おうと身を屈めたが 
それよりも早くミハエルはそれに手をのばし 手帳の土の汚れを丁寧に払い落としネイトに渡す
「ありがとうございます王子」
「ほらまた王子と呼んでいる 僕はお前と一緒にいる時は友達として話がしたいんだ 
だからお前のその恭しい言い回しも本当は気に入らないな」
珍しく子供のように口を尖らせながら拗ねるミハエルにネイトはこの上ない愛おしさを感じずにはいられなかった

木漏れ日にも映えるミハエルのその美しい金の絹を見つめながらネイトは言う
「あなたの方が光に溶けてしまいそうです」
そう言ってミハエルの唇に静かに口づけをする
それはあまりにも衝動的でそしてあまりにも甘く魅力的な一瞬だった

「!…」

ミハエルの溜息にネイトはゆっくりと唇を離す

「私からあなたへのご成婚の祝福です 私は何も差し上げる物がございません 
せめてあなたを心からお慕いしているという事をどうか忘れないで」
ネイトの突然の行為にミハエルは瞳を丸くして 少し呼吸を荒げてその場に立ちすくむ
「変な意味に取らないで下さいね あくまでも親愛なる王子へのキスです」
自分の気持ちを伝え満足したようにミハエルに視線を合わすが
なにも言葉を返さないミハエルになにやら不安になってすぐさま視線を外す

「すみません 不愉快な思いをされたのならお詫びします」
頭を深く垂れたニアを暫し見やって その薄い小さな肩に手を置きネイトを下から覗き込むように捉える
「ニア 何をそんなに偏屈になっているんだよ 僕がお前の気持ちを拒む筈がないじゃないか」
「メロ…」 ネイトはミハエルの言葉に小さく微笑んだ

「ネイトいろいろ教えてくれ その 草花やら虫やら お前の好きな物を全部僕に教えてくれ
僕はお前が何を好んで何を望んで何を苦手としているのかもっと知りたい もっと知りたくなった 不思議だけど……」
ネイトは漆黒の大きな瞳でミハエルを見つめる
「なにか 今 凄く大事な事のように 感じて い る…… 」
ミハエルの言葉の語尾が段々と小さくなっていく 
「メロ あなたが欲しているもので私が知り得るのであればあらゆる知識の中からすべてお教えいたしますよ
さあ何から始めましょうか?」
「ニアに任せる とりあえず腹が減った まず食事にして
それからじっくりと検討してそして昼寝をするというのはどうだ?」
「メロ それでは全く課外授業の意味がありません 私が王妃に叱られてしまいます」 
「そんなものは適当に誤摩化せ 
それにもう母上は僕のなんたるかに関心なんてある筈が無いだろ?どうでもいいじゃないか」
関心が無い事程寂しいものはないのだとネイトは心の中で思う
しかしそれ以上にミハエルの心が傷ついていることをネイトは痛い程分かる

「ではメロあなたにお任せしましょう 
まずは食事にしましょうか?それからすぐに昼寝でも私は一向にかまいませんよ」
「なんだ 急にものわかりが良くなったんだな 僕は馬にならなくて心底よかったと今思っているところだ」
そういって大きな口を開けて無邪気に笑うミハエルを見て ネイトは切なくて涙がでそうだった

『愛しています』ネイトは心の中で何度も叫ぶ
叫んでも叫んでもどうしようもない現実に気が狂いそうだった
『胸が押しつぶされそうなくらいにあなたを愛してしまっている』
ミハエルが自分の視界からいなくなるという事は 自分の中の支柱が崩れるようなものだ
自分はこれからちゃんと生きて行けるのだろうか………

「ニア どうしたんだ?まさか泣いているのか?」
心配そうに覗き込むミハエルは自分の不甲斐なさに泣いているのかとばかりにネイトに詫びる
「ニア 昼寝はしないよ ちゃんと勉学に励もう だから泣かないでくれ」
そう言ってネイトの傍らに寄り添って銀色の柔らかな髪を優しく解すように撫でる
「メロ 私は わたしは 」
「ん?なんだ?」
「いえ なんでもありません さあ食事にしましょう 
そうだ 食事が終わったら昼寝などせずにもっと面白いところへご案内しますよ」
そう言って少し潤んだ瞳を見られまいと明後日の方向を向いて明るく振る舞う

「森の終わりに切り崩した崖があります 下へ降りられる場所を見つけました そこへ降りて魚でも捕まえましょうか
そのかわり そこでは私がイニシアティブを取らせていただきます いいですか?」
「いやに張り切っているな 楽しみだ 早く食事にしよう 
いや食事は後回しで先に崖を降りてそこで食べるのはどうだ?ニア」
逸る気持ちを押さえられない態度のミハエルは意気揚々と提案する 

「メロ 私がイニシアティブを取りますとさっき言ったはずです 聞いていました?」
「いや 忘れた」
ミハエルはすでにウエディを解放して馬に乗り込もうとしている
「あなたには勝てませんね」 そう言ってミハエルの差し出す手を素直に掴んで馬の背にまたがる
「さあ急ぎましょう 少し遠いので飛ばしますよ しっかり捕まっていて下さいね」
「大丈夫だと言っているだろう しかも僕は乗馬の達人だ それは僕のセリフだろう」

ネイトから手綱を奪い これでどうだ とばかりにネイトの背中にぴったりと身体をつけて手綱を持つ手に力をこめる








続く…




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