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第二章

2009.04.25  *Edit 

馬の扱いはこの国一番という程の乗馬の腕前のミハエルは 水を得た魚の如く速いスピードで広い草原を駆け抜ける
風がミハエルの金色の絹の髪を宙に解す
「王子待って下さい そんなに速く行ってしまっては私が追いつけません」
緩やかに尾を引く金のラインを見つめながら 聞こえないとわかっていても叫んでしまうネイト
やがて あと500メートル程で森の入り口という辺りでミハエルの馬が止まった
何度か馬の腹を蹴って歩かそうとするが馬は後ずさりするばかりで一向に前に進もうとしない
そうこうしているうちにネイトの馬が追いついた
「どうしました?王子」
「アイバーが怖がって森に入ろうとしない」
森に恐れをなして馬のアイバーがそれ以上近づこうとしないのだ
「これ以上無理強いをさせるとストレスが溜まります アイバーは先に帰しましょう 王子は私の馬に乗って下さい」
そう言ってネイトはその場で馬から降りた
ミハエルも馬から降り アイバーの尻を軽くたたいてやるとそそくさとその場を退散するように城の方へ引き返して行った
「臆病な奴め なにが怖いんだ」
「仕方ありません 馬だって人間と同じで怖いものは怖いのです」
さらっと言ってのけるネイトに感心したようにミハエルは言葉を返す
「へえ驚いた 動物には随分と物わかりが良いんだな 僕にもそれくらい甘くなって欲しいものだ」
「何を言っているのですか 十分優しいと思いますよ私は」
「嘘をつけ」
ミハエルは笑いながら足枷に左足をかけ馬にまたがる
先に乗ったミハエルはネイトにも乗るように手を差し伸べる
「私は歩いて行きます 私まで乗ったらウエディが可哀想です」
「だから動物だけには優しいと皮肉を言ったのさ いいから乗れ 細いお前なんて風よりも軽い筈だ」
そう言って強引にネイトの腕を掴み馬の背に乗り上げさせる
「大丈夫だと言っているのに」ブツクサと文句を言いながらもミハエルの前に腰を下ろし手綱を手に取る
「手綱は僕が持つ 僕の方が上手いだろ」
ミハエルはネイトの手から手綱を取り上げ 軽く腹を蹴ってやると何も怖がった様子もなくウエディは歩き出す

ゆっくりと森の中に入って行く
記憶としては初めて入る森 冷やりとした湿った空気に包まれる中でミハエルは少し身震いを覚え
ネイトの後ろで大きく深い息をはく

「大丈夫ですか?何も怖くはありませんよ でも引き返すなら今です王子」
クスクスと意地悪そうに笑いながら言葉を投げるネイトにミハエルは答える
「違うんだ そうじゃない 感動して鳥肌がたっている あまりにも神秘的で怖いくらいだ 
魔物が住んでいても不思議ではない」
素直に言葉にするミハエルの手綱を持つ手に力が籠り 自然にネイトの身体と密着する要素になった
身体をずらそうとネイトは後ろを見上げると 思いがけない近さにミハエルの顔があり 驚いてすぐさま前に向き直る

ミハエルは目を輝かせてひとつひとつ目の前にある物すべてに感動している
「もうすぐ行くと木の枝が大きく開けている場所に出ます 
そこは木漏れ日が差し込んで暖かく 昼寝をするにはもってこいですよ」
「昼寝をするのか?よし急いで行こう」
気持ちの逸るミハエルはワクワクとした態度を隠せない様子でネイトに言う
「王子 私が一人のとき昼寝をするには良い場所だと言っただけで今日はしません 
課外授業はきちんとやりますよ わかってますね」
「あ~ぁ 僕が馬だったらどんなにか優しくしてもらえただろうな ネイト」
ミハエルはこれ以上言っても無駄だとばかりにネイトの肩に頭を乗せていかにも残念そうにぐったりとうな垂れる仕草をする
背中にミハエルの体温を感じ ネイトは首筋に流れる鼓動が早くなった事を気付かれまいと平静さを装って言葉を発する
「王子 ちゃんと座ってください あぶないです」
「小さい子供じゃないんだ これくらいで振り落とされるわけないだろ 手綱もちゃんと握っている 
いざとなったらお前にしがみつくさ」
そう言ってミハエルは手綱を持つ両腕でネイトの身体をぎゅっと力を加えて締め上げる
「ほら こうやって」
「王子! いい加減にして下さい!」
子供のように臆する様子の無いミハエルの態度にネイトはこれ以上無い程に動揺してつい声を荒げてしまった
「何を怒っているんだ? 悪ふざけしすぎたか?」
「……すみません王子 大きな声を張り上げて」
「いちいち謝るな ところでさっきも言ったが王子というのはこの際ヤメろ 折角の外じゃないか」
後ろでミハエルが笑ってる 本当に屈託のない可愛い笑顔だとネイトは思う
「小さい頃みたいに呼んでくれよ ニア」

ニア………  幼い頃ミハエルはネイトをそう呼んでいた
懐かしい響きとその笑顔を前にしてネイトも久しぶりに呼んでみる

「メロ………」

いつからお互いそう呼び合わなくなったのだろう
名前を呼んでみたもののネイトはその後に続く言葉が見つからず無言で馬に揺られていた

「ニア お前は幾つになったんだっけ?」 暫しの沈黙の中 ミハエルが訪ねる
「先月で17になりました」
「8月か?何日なんだ?」
「24日です」
「そうか お前の誕生日を今の今まで知らないまま過ごしていたなんてあまりにも不甲斐ないな」
「何言っているんですか 王子らしくもない あ失礼 メロらしからぬ態度ですね
もっと偉そうにしていてくださらないとこっちの気が抜けます」
「僕はそんなに威張ってない これでも城一番優しいと噂されている あ いや ただの噂だけど」
自分で言って恥ずかしくなったミハエルは少し顔を赤らめる
「ええ知ってますよ 優しくてハンサムなメロ王子は国の女性から熱い恋文が沢山届いているのをご存知ですか?」
「ふん 興味ない 僕には結婚も王の座もどうでもいい事だ」

少し寂しそうに放つミハエルの気持ちを察したネイトはそれ以上何も言わず 
ゆっくりと馬のリズムに身を任すように揺られていた








続く…




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