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子供の情景

2009.04.19  *Edit 

子供の情景


ハウスにいた頃のニアは必要以上にクセ毛が強くて、それに加えて年がら年中指でクルクルと絡めているものだから
時々かまらまってはその毛先が天を仰いだままほっておかれる事がしばしばだ。
まだ幼かったメロは、そんなニアの髪の毛を見るたびに「ニアに耳が生えてる」と本気で信じていた。
夜中に猫に変身しているんじゃないかと、眠いのを我慢してかぶったブランケットの隙間からこっそりと見張っていた事も何度かあったが、
睡魔には勝てずにすぐに眠りに堕ちていくのだが。

そんなある夜中、メロが珍しく熱を出してベッドで寝ていた時だった。
熱でボンヤリとした思考の中で、ガシガシと何かをかじっている音が聞こえ、メロはその音のする方へ振り向いた。
そこで見たものは、なんとニアがベッドに備わっているその柵をひっきりなしにかじっているではないか…。
両手はしっかりと柵を掴んで一心不乱にかじるその光景は、
いつか読んだ怖い絵本に登場した人骨をかじるモンスターさながらの様だった。
部屋に流れ込む満月の月明かりは、壁一杯にニアの影を映し出している。
微かにその口元と指先に、するどい牙と爪を見た様な気がした。
猫なんて可愛いモノじゃない…… 
いつの間にか全身から汗が吹き出す。指先がフルフルと震えている。ハアハアと息が荒い。

メロは布ずれの音にも気を使う如くゆるりとブランケットを頭からかぶって、
ロザリオを握りしめながら必死になって神様にお祈りをしていた。

「神様、どうか食べられませんように!! なんでも言う事聞きます!! キッチンでおやつの盗み食いはしません!!
図書室の机に落書きしたのは僕です!! ボールで廊下のガラスを割ったのも僕です!! それから……
ニアのおかずにニンジンをわざとたくさん入れました!! ニアのパズルを壊したのも僕です!!
ニアの…えっと…髪の毛の耳も切りましたっ!  だって耳がいっぱいあって怖かったから… 
でもちょっとです、2センチくらい……あ、いや3センチくらいかな?………  」

「5センチはありました……」

いきなりブランケットをはがされて一瞬身体が強ばった。
言い訳するあまり、懺悔の言葉をつい、声に出していたのだ。

見つかってしまった!…… 食べられる!!!!
「3センチどころじゃありません、メロ。切ってくれたおかげでよけいに毛先がハネて収集がつきません」
「おっ お、 あうっ う……ぅぅぅぅ 」
「メロ?」
「うわあぁぁぁぁぁん わああ… ごめんなさい もうしません だから食べないで わああん…」
「食べませんよ メロ、どうしたんですか?」
「わああん わあああん ごめんなさい」
訳がわからずニアは暫しその場に立ち尽くしていたが、 いつまでも泣き止まないメロに豪を煮やし、
ニアはいきなりメロの上に覆い被さってその身体をギュッと抱きしめた。
メロはついに自分に襲って来たのかと思い、恐怖で大声を張り上げる寸前、あえなくその唇をペロリと舐められる

「っっ!!」

ぺろぺろと何度も舐められて、くすぐったさにメロは身体を捩ると、今度は耳たぶをカシカシとかじられる。

カシカシカシカシ……   

やがてその凶暴な筈である指先で肩を掴まれ、今度は肩をガジガジと噛まれる。

ガジガジガジガジ…………

__________今度こそ食べられる………神様っ!!___________





どのくらいの時間 目を閉じていたのだろうか……………
神も仏も無いのだと覚悟の上、ニアにされるがままになっていた筈なのに 一向に襲ってこない……
いや、もう此処はすでに天国なのか?
ぶんぶんと思い切り頭を振って訂正する。
_______僕はイタズラばかりしたからきっと地獄に決まってる……_______

恐る恐る目を開けて見ると、自分に襲ってきていた筈のニアはスースーと気持ち良さそうに寝息を立てて眠っているではないか。
ゆっくりと身体をずらしてその様を確信する。
その凶暴な牙も、長い爪もニアにはもう生えていなかった。


魔法が解けたんだ!!
僕が正直に話したから神様が助けてくれたんだ!!  ニアの魔法も解いて下さったんだ!!






状況はどうあれ、大量に吹き出た汗のおかげですっかり熱もさがったメロ。
何事も無かったように淡々としているニアに、メロは少しばかり苛ついていたので一言ってやった。


「ニア、お前が元に戻ったのは僕のおかげだからな」
「何の事ですか?メロ」
そう言って ニヤリと意味深に笑うニアの歯はところどころ抜け落ちていたり、先が尖っているところがあって、
それはまるで血を求めて舌なめずりしている吸血鬼のようにみえた。
そんなニアを見て、また牙が生えてきやしないかと一瞬ビクリとして、メロはすぐさまその場を立ち去った






乳歯から永久歯に生え変わった時、 歯茎がむずむずして何かを噛みたくなったり、
歯が浮いてカユく感じたりする事があると歯の健康診断の際に説明があったような気がしたな、と随分後になってメロは思い出した。

しかしニアがあの時にみせた妖艶な仕草は紛れも無く人間ではなかったと信じて疑わない。

そして思春期になった今でも
その猫の様なニアの噛み痕が自分の身体のあちこちについている。

ニアと自分以外は誰も知らない事だ、とメロは思う。



それは満月の夜にだけなされる行為ではないのだ。


_______________________________ fin






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